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スタートアップの採用で大切なのは、採用担当者の対人影響力や気遣いを含めた“戦闘力”――人材研究所 代表 曽和利光氏

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2019/04/11 06:00

 スタートアップやベンチャーなど、ブランドに頼れない会社が採用で成功するには何が必要か――。1月29日にfreee株式会社 本社オフィス内(東京・五反田)において、イベント「スタートアップの人事と採用のセオリー」が開催された。前半は、書籍『人事と採用のセオリー』の著者で株式会社人材研究所 代表取締役社長の曽和利光氏へのインタビュー。後半は、曽和氏にスタートアップ/ベンチャー企業の3名を加えてのパネルディスカッションが行われた。本稿では、前半のインタビューの模様を紹介する。なお、インタビュアーは人事戦略コンサルタントの松本利明氏が務めた。

採用担当者個人の戦闘力で勝負する戦略を

松本利明氏(以下、松本):インタビュアーを担当する松本利明です。まずは簡単に自己紹介をさせていただきます。PwC、マーサー、アクセンチュアなど経て、今は独立して人事系のコンサルティングをしています。スタートアップ企業をはじめ、現場に入り込んで一緒に結果を出すというのが私のスタイルです。本日はよろしくお願いします。

曽和利光氏(以下、曽和):愛知県出身の曽和利光です。大学で心理学を勉強し、卒業後はリクルートに入りました。最初、内定者アルバイトとして、ホットペッパーの営業をしたのですが、全然売れませんでした。「お前は心理学の経験があるのなら人事でも行けるだろう」ということで、入社後は人事部に配属となり、そこから人事に携わるようになりました。自分で人事のコンサルティングやアウトソーシングの会社を立ち上げて今年でようやく8期目です。自分も20人くらいの小さな会社を経営しているので、顧客企業の社長さんに会うと、あるあるネタなどで共感を得ることも多くなっています。

曽和 利光氏
曽和 利光(そわ・としみつ)氏
株式会社人材研究所 代表取締役社長。上智大学非常勤講師。
1995年、リクルートに入社し、以降十数年に渡り同社の人事部にて、採用・育成・制度・組織開発・メンタルヘルスなど、様々な人事領域の業務を担当。最終的には人事部ゼネラルマネジャーとして人材採用の責任者となり、現在のリクルート幹部やリクルート出身の起業家、ビジネスリーダーを数多く発掘、採用。その後、開業直後のライフネット生命や、上場を目指し急成長中のオープンハウスの人事責任者を歴任。2011年、人材研究所を創業。

松本:曽和さんのところにはどんな相談が多いのですか。ここにいるみなさんはスタートアップや、これから伸びていく中小企業に所属している人が多いようですが。

曽和:一番多いのは採用についてです。ただ、増えているのは退職予防とか、今いる人の生産性を上げていかなければいけないので育成とか、ひとことで言えばがんばってもらうための方法についてですね。

松本:スタートアップが採用を行う時のいちばんのポイントは何なのですか。

曽和:こんなこと言うと元も子もないのですが、採用担当者の魅力が一番だと思っています。採用担当者もしくは人事担当者の対人影響力が重要なのです。会社のブランドに頼ることのできないスタートアップやベンチャーをたくさん見てきて、結論的に思うのがそれです。

松本 利明氏
松本 利明(まつもと・としあき)氏
HRストラテジー 代表。日本人材マネジメント協会(JSHRM)執行役員。
外資系大手コンサルティング会社であるPwC、マーサー ジャパン、アクセンチュアなどのプリンシパル(部長級)を経て現職。5万人以上のリストラと6000人を超える次世代リーダーや幹部の選抜・育成に関与した『人の「目利き」』。25年間で、外資系・日系の世界的大企業から中堅企業まで、600社以上の人事改革と生産性向上を実現。『「ラクして速い」が一番すごい』(ダイヤモンド社)、『「稼げる男」と「稼げない男」の習慣』(明日香出版社)はベストセラー。日経、AERA、英国BBC、ロイター通信、TBSなどメディア実績多数。

松本:その会社を体現するような雰囲気を持っている人ということでしょうか。

曽和:そうですね。体現するといってもよいですし、スタートアップやベンチャーがこういうふうにしていきたいという理想像にマッチしている人ですね。すごい人である必要はありません。若手が憧れるようなバリバリのキャリアを持つ人に採用担当者になってもらうのは現実的ではないかもしれません。それよりも、新人で採用担当者になった人が成功しているケースもあります。対人影響力が重要だからといって、バリバリのキャリアの人を連れてくれば済むわけではないのです。

松本:そうすると、どうやって人事担当者の魅力を引き出すかが重要なのですね。今いる人の中から魅力を引き出すことができれば、対人影響力のある人になってもらうことも可能です。そうした時に、採用ではどのような点がポイントになりますか。

曽和:採用担当者の個人の力がポイントになります。私たちはこれを“戦闘力”と呼んでいます。別に応募者と戦うわけではないのですが、戦略、戦術、戦闘というスコープを絞る意味でそう呼んでいます。ですので、個人の戦闘力で勝負する戦略を取っていることがまずは大事だと思います。すごく魅力のある担当者でも、例えば“空中戦”で大きい広告を展開して云々とか、エージェントをマネジメントしてやっていくみたいなことなら、オペレーション能力が高いことが大事になります。そうではなく、いわゆる“地上戦”において戦闘力で勝負する採用プロセス――例えばリファラル採用などですが――そういうところに持ち込んで戦闘力を発揮するのが王道だと思います。

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著者プロフィール

  • 八鍬 悟志(ヤクワ サトシ)

    都内の出版社に12年勤めたのちフリーランス・ライターへ。得意ジャンルは労働者の実像に迫るルポルタージュと国内外の紀行文。特にヒンドゥ教の修行僧であるサドゥを追いかけたルポルタージュと、八重山諸島を描いた紀行文には定評がある。20年かけて日本百名山の制覇を目指しているほか、国内外を走るサイクリストとしての一面も。

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