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ITエンジニア採用成功の秘訣は自社が大事にしている価値感や“弱さ”をさらけ出すこと

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2019/03/19 06:00

 ある調査では8倍を超えるITエンジニアの求人倍率。採用活動は人事やマネージャー層だけの課題にとどまらず、現場のエンジニアも巻き込んだ総力戦の様相を呈している。そうした中でも、ITエンジニアの採用に成功している企業がある。どのように採用を進めているのか。本ディスカッションでは、アプレッソ/セゾン情報システムズの小野和俊氏、Reproの三木明氏、リクルートテクノロジーズの松尾奈美氏を迎え、その知見や取り組みを語っていただいた。

パネリスト

  • 小野和俊氏(株式会社アプレッソ 代表取締役社長、株式会社セゾン情報システムズ 常務取締役CTO)
  • 三木明氏(Repro株式会社 VP of Engineering)
  • 松尾奈美氏(株式会社リクルートテクノロジーズ 企画統括本部 経営企画部 広報コミュニケーショングループ グループマネジャー)

モデレーター

  • 市古明典(株式会社翔泳社 IT人材ラボ ラボ長)

母集団形成では何を大事にしているかを打ち出す

市古:このセッションでは、ITエンジニアの採用をテーマにパネルディスカッションを行います。皆さま、こちらに足を運んでいただいたということは、多かれ少なかれエンジニア採用でお困りだったり課題を抱えていたりするのではないかと思います。実際、ある調査では求人倍率が8倍以上という数字が出ています[1]。それくらい大変な状況であるわけです。

 しかし、そうした中でも優秀なエンジニアを採用できる会社もあります。本日は実際に成果を上げている3社の方にお越しいただき、知見を皆さまと共有したいと思います。まず松尾さんから自己紹介をお願いします。

松尾:リクルートテクノロジーズの松尾と申します。弊社は、リクルートが2012年に分社化した時にできた会社で、リクルートグループのIT基盤を横断的に担っています。社員数は、設立当初は150名でしたが、今はおよそ900名になっています。コーポレートスタッフを除くほぼ全員がエンジニアで、アプリケーション、ミドルウェア、インフラ、セキュリティ、データエンジニアリングなど、幅広いレイヤーを担当しています。

 私は去年までの4年間、人事として中途のエンジニア採用に携わり、今は広報コミュニケーションとして組織活性や社外PRを担当しています。

株式会社リクルートテクノロジーズ 企画統括本部 経営企画部 広報コミュニケーショングループ グループマネジャー 松尾奈美氏
株式会社リクルートテクノロジーズ 企画統括本部 経営企画部 広報コミュニケーショングループ グループマネジャー 松尾奈美氏

小野:セゾン情報システムズとアプレッソの小野と申します。セゾン情報システムズにはSIの部署とDataSpiderなどのパッケージソフトを作っている部署があります。社員数は800人くらいで、うち500人くらいがエンジニアです。アプレッソは2000年に設立したベンチャー企業で、セゾン情報システムズがアプレッソの100%株主になり、今はセゾングループという形です。社員は50人ほどいて全員エンジニアです。

 私自身は1999年にサン・マイクロシステムズに入り、米国本社で仕事をした後、帰国して24歳でアプレッソを起業しました。今もアプレッソの社長をやっていますし、セゾン情報システムズの常務CTOもやっています。

三木:Reproの三木と申します。やたらと会社を立ち上げてはやたらと失敗してきた“スタートアップ失敗おじさん”なので、けっこう成功談もある一方、失敗談もいろいろ話せるかなと思います。

市古:では、ディスカッションを始めたいと思います。皆さんが苦労されていることとして、母集団形成があると思います。松尾さんは母集団形成に関して、「これは良かった」という体験談はありますか。

松尾:リクルートの中でセキュリティ組織を新たに立ち上げる時、エンジニアを募集したことがあったのですが、初めは応募が全然来ませんでした。「リクルートでセキュリティができますよ」と言うと応募が来ると思ったのですが、セキュリティエンジニアは各所で募集があるようで、差別化ができなかったのです。

 そこで担当役員とタッグを組み、この組織は他の組織とどこが違うのか、何を大事にしている組織なのか、といったことを根本から作っていきました。表面的に口説くよりもそのほうがよいと思ったからです。すると1年くらいして、どんどん人が来るという循環ができました。少し遠回りに思われるかもしれませんが、組織の立ち上げにおいては、何を大切にするのかを作っていくことが大事だと思います。

株式会社アプレッソ 代表取締役社長/株式会社セゾン情報システムズ 常務取締役CTO 小野和俊氏
株式会社アプレッソ 代表取締役社長/株式会社セゾン情報システムズ 常務取締役CTO 小野和俊氏

小野:うちもアプレッソを立ち上げた時、誰も会社名を知らない状態で、同じような苦労がありました。 今だったら「顧客満足度で5年連続ナンバーワン[2]のツールを開発している会社です」とか謳えるのですが、当時は何もないところにどうやって共感して入ってくれるんだろう、と思っていました。

 僕の場合は、米国から帰国して日本のエンジニアリングの現場について思ったのが、美しいソースコードをもっと大事にすべきだということです。エンジニアの幸福度という意味でもお客様のシステムの安定性という意味でも、きちんと美しく作ることを(採用の)メッセージとして出したんです。そうしたら、ペアプログラミングが一般的ではなかった当時、「ペアでやることでソースコードの品質を上げようと提案をしたのですが、人月が2倍になるだろうということで却下されました」というSIer出身の人が応募してきてくれたりしました。組織の立ち上げ時期に実績などはないのですが、どこをこだわってやっていこうとしているか、それをきちんとアピールできると業界から共感が得られ、ソーシャルでも拡散してグッと人が来ます。

[1]: doda転職倍率レポート(2018年12月)の職種別「技術系(IT・通信)」より。最新情報(2019年2月)では7.22倍。

[2]: アプレッソが開発するデータ連携ツール「DataSpider Servista」が、日経BPコンサルティング調べ「データ連携に関するアンケート調査」において獲得。

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著者プロフィール

  • 八鍬 悟志(ヤクワ サトシ)

    都内の出版社に12年勤めたのちフリーランス・ライターへ。得意ジャンルは労働者の実像に迫るルポルタージュと国内外の紀行文。特にヒンドゥ教の修行僧であるサドゥを追いかけたルポルタージュと、八重山諸島を描いた紀行文には定評がある。20年かけて日本百名山の制覇を目指しているほか、国内外を走るサイクリストとしての一面も。

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