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事業成長に必要な組織づくりと創業期からのゆるさ・楽しさを併存させるため「エンジニアギルド」や「技術互助会」を設置――ピクシブ VPoE 小芝敏明氏《前編》

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2019/07/29 06:00

 ベンチャー企業を中心に「VP of Engineering(以下、VPoE)」を置く企業が増えている。VPoEはエンジニア組織の運営責任者で、人事・環境づくりの面からシステムやアプリの開発・運用を支える。いわば、チームの生産性を左右するキーポジションだ。本連載では、自らVPoE的な役割として活躍中の株式会社リクルートテクノロジーズ 黒田樹氏(ITエンジニアリング本部 HR領域エンジニアリング部 エグゼクティブマネジャー)が聞き手となり、さまざまな企業のVPoEにお話を伺って、エンジニア組織運営の経験やノウハウを皆さんと共有していく。

 第1回のゲストは、ピクシブ株式会社でVPoEを務める小芝敏明氏(執行役員 VP of Engineering コーポレート本部 コーポレートエンジニアリング部 マネージャー)だ。同社のサービス「pixiv」は、イラスト作品の投稿・閲覧が楽しめる“イラストコミュニケーションサービス”を軸に、コミック作品や小説まで幅広いジャンルの創作コンテンツが人気を呼んでおり、2019年4月にはユーザー登録数が4000万人を突破した。

 典型的なネットサービス企業だけに、全社員およそ200名のうちエンジニアが約80名を占めるという。そのエンジニア集団を、CTOのよきパートナー役として取りまとめているのがVPoEの小芝氏だ。成長を続けるピクシブのエンジニアリング組織のマネジメントには、どんな信念や創意工夫が込められているのだろうか。

プロジェクトが円滑に進む場を作る

黒田樹氏(以下、黒田):最初に、小芝さんの現在の立場とミッションを簡単にお聞かせいただけますか。

小芝敏明氏(以下、小芝):主な部分は、やはりエンジニア組織の運営です。ピクシブの組織は基本的に事業部制による縦割りです。私が運営しているのは、それらの事業部をまたいだ、いわば横軸となるエンジニア組織です。

 またVPoEという立ち位置ですが、事業関連の判断やエンジニアの統括はCTOが仕切っており、私はそのための仕組み作りやプロセス面の整備を通じてCTOを補佐する役割という位置付けです。

 ちなみに現在の社員数は、東京と福岡を合わせた全社で約200名で、エンジニアは約80名。さらにデザイナーを合わせると、過半数を技術系の社員が占めている。周りの方からは意外に思われますが、そういう技術寄りの会社なんです。

小芝 敏明氏
小芝 敏明(こしば としあき)氏
ピクシブ株式会社 執行役員 VP of Engineering コーポレート本部 コーポレートエンジニアリング部 マネージャー。
SIerでの基幹業務システム開発を皮切りに、ポイントサービス開発、広告配信システム開発、技術カンファレンス主催、組織作りなど、テクノロジーとエンジニアリング一筋。今は10年先まで成長できる体制を組織と文化とシステムの面から担当する仕事をしている。
キャッチフレーズは「真面目なSE、真面目にSE」。

黒田:各事業部には、当然売り上げ目標などのKPIがあると思うのですが、その責任は所属のエンジニアも負うんですか。

小芝:そこは事業部やチームで達成目標を決めて、それを全員で追いかけていくのが基本です。もちろんその結果として、エンジニアに対する評価も行いますが、あくまで主眼は事業の目標達成であり、そのチームの一員としてどれだけ力を発揮したかを評価するもので、エンジニア個人が結果の責任を負うといったことではありません。

黒田:営業の責任とかエンジニアの責任と分けずに、チーム一丸となって進んでいく。それをVPoEは、エンジニアリングの側面から支援するというスタンスなのですね。

小芝:そうです。またその際も「事業に貢献する」という言い方ではなく、「ミッションとビジョンを実現するための創作活動を楽しくできる場所を創る」意識を大切にしています。というのも、プロジェクトを進めていくには何よりも先に、多彩な技術やスキルを持ったメンバーが参加できる「場創り」が不可欠だからです。そういう場が生まれてはじめてプロジェクトも円滑に進むようになり、結果的に事業も成功に向かいます。

聞き手:黒田 樹氏(株式会社リクルートテクノロジーズ ITエンジニアリング本部 HR領域エンジニアリング部 エグゼクティブマネジャー)
聞き手:黒田 樹氏(株式会社リクルートテクノロジーズ ITエンジニアリング本部 HR領域エンジニアリング部 エグゼクティブマネジャー)
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著者プロフィール

  • 黒田 樹(クロダ イツキ)

    SIerにて官公庁系の大規模開発のシステムアーキテクトを経て、2011年8月リクルートホールディングスに入社。新規事業開発部門のメディアテクノロジーラボに配属。肥大化する組織にスクラムやリーンスタートアップの考え方を適応させ、ビジネス成長に寄与するエンジニアリング体制を構築。また海外スタートアップのグロース支援をなども経て、現在はリクルートテクノロジーズにて執行役員としてエンジニア組織のマネジメントに従事。

  • 工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

    出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

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