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ミラティブ新CHROが明かす! スタートアップ企業における「組織人事の罠」と事業成長に必要なその環境

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 スタートアップ企業の組織人事はどこに注意して運営するべきか――スマホゲームに特化したライブ配信サービスを手がけるミラティブは2019年11月6日、東京・目黒の同社内にて人事向けイベント「ミラティブ社CHRO就任記念!代表赤川×CHROによる『スタートアップ組織の過去と未来』」を開催した。同イベントは2部構成で、第1部は株式会社ミラティブ CHRO 鈴木修氏による講演「組織人事の罠」、第2部は鈴木氏と同社 代表取締役 赤川隼一氏による対談が行われた。本記事ではそのうち、第1部の模様をお伝えする。

組織人事の罠とは

 第1部の鈴木氏による講演では伝えたい8つの「組織人事の罠」のうち、会場から多く手が挙がったテーマについて、時間の許す限り話していくという形で進められた。

8つの「組織人事の罠」
  • ①社内イベント
  • ②文化構築は仕組み
  • ③“あるべき”文化
  • ④定量的評価制度
  • ⑤シリコンバレースタイル
  • ⑥採用は量より質
  • ⑦採用戦略
  • ⑧YESマン人事責任者

 なお、鈴木氏は今年10月1日にミラティブへジョインしたばかり。本講演でもミラティブで取り組んできたことではなく、過去の経験や実績に基づいた組織・人事に関する考え方や、今後ミラティブで実施したいことについて話された。

鈴木 修氏
鈴木 修(すずき おさむ)氏
株式会社ミラティブ CHRO(最高人事責任者)。
大学在学時にITマーケティング領域で起業。事業譲渡後、株式会社インテリジェンスにて組織開発やコーポレートブランド構築に従事。2004年より株式会社サイバーエージェントにて人事部、社長室室長、関連会社社長、産学連携プロジェクト統括を歴任。2011年からはグリー株式会社にてグローバル人材開発責任者を担う。2013年に独立し、経営と組織人事の領域からスタートアップのIPO支援を行い、その後、2014年には6月株式会社SHIFTに参画し、取締役として国内及び海外のグループ会社を統括。2019年10月より現職。

罠④「定量的評価制度」~適する会社・職種は限られる

 会場で最も聞きたいと手が挙がった罠は「定量的評価制度」だった。鈴木氏によれば、そもそも「定量的評価制度がフィットする会社は意外と多くない」ので、究極的には、評価制度における定量的要素は極限までシンプルかつ少なくしたほうがよいという。

 評価制度を定量で精緻に実施できる企業は限られていると鈴木氏。定量的評価ができる条件として、職種が定量的に成果と成長を見て取れるものであるかが1つ。もう1つは、定量実績が公平に出せる安定した業界であるかどうかだ。例えば、パフォーマンスはクライアントとマーケットの伸びによって変わってくる。そのため、顧客企業の予算が大きくなった途端、担当者のパフォーマンスは本人の能力に関係なく伸びてしまう。定量的評価を行うには、こうしたラッキーパンチがあまりないことが条件となる。

 そのほか、定量的評価を勧められるのは、評価を完全に定量的にしか行わないようにする会社、あるいは、社員がどうパフォーマンスを出しているかをしっかりモニタリングしている会社。しかし、そうしたことが徹底できない会社であれば、定量評価は公平性を失い逆に社員の納得度を下げることになるため、鈴木氏は定量的評価の導入は勧められないといい、「感覚評価が入ることを前提とすることに振り切り、それに基づいた評価制度を、運用に重きを置いて構築するほうが、戦略人事としてはより生産的になる」と説いた。

 鈴木氏自身、これまで定量的評価を行って失敗も経験してきたという。ミラティブではこれまでにない新しいチャレンジをしたいと述べた。

組織人事の罠④:定量的評価制度
組織人事の罠④:定量的評価制度

罠③「“あるべき”文化」~“あるべきではない”ルールこそ重要

 鈴木氏によれば、“あるべき”文化を作ろうと思ったら“あるべきではない”ルールが必要だという。例えば、出社時間のルールについては「朝は出社時間までに出社しましょう」とも伝えられるし「1分も遅刻してはいけない」とも伝えられる。多くの企業では前者のようにポジティブな表現が主流だ。それも必要だが、だめなこと、NGであることを定めるルールもバランスよく設けることが重要だと鈴木氏は説く。

 あるべきというルールは、経験や性格によってさまざまなあり方が存在し、多様な解釈が行われる。一方、あるべきではないというルールは、誤った解釈や複数の解釈の余地がなく、絶対にこれはいけないという事柄を規定する。多様性は一切必要ない。

 現在はさまざまな価値感や働き方が生まれ、個人側がいろいろな考え方を持つことを是とする時代になってきた。そのため、ルールに対してもさまざまな解釈が生まれてくる。しかし、鈴木氏は「(周囲は正しいと思えないことも)自分にとっては正しいという議論にならないように、あるべきではないというルールの設計がとても重要。多様性を必要とする事柄と多様性は必要ないという事柄を明確に切り分けて、“あるべき”ルール設計をするのか(多様な解釈が必要なのか)、“あるべきではない“ルール設計をするか(多様な解釈は必要ないのか)を決めることが大切である」と重ねて述べた。

 さらに、もう1つ重要な点として、あるべきではないこと、つまりそれはだめだよということをタイムリーに伝える文化作りもかなり重要だと鈴木氏。こういう会社でありたいということと並行して、こういうことを我々は求めていないということをセットで伝えていく。そして、これをマネジメント層を中心に習慣化させ、文化にまで醸成させることが重要だとした。

 「会社のバリューとは別に、性善説で社員のことを信じているからこそ、“これはやらないよね”ということを明確にしたほうがよいです。そうしないと、会社が性善説でとらえている枠組みから他意なく・悪気なく外れる行動を起こす社員が出てしまいます。その歯止めとして(あるべきではないという)ネガティブブロックを用意して、ポジティブな行動に集中できるようにしましょう」(鈴木氏)

組織人事の罠③:“あるべき”文化
組織人事の罠③:“あるべき”文化

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著者プロフィール

  • 市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)

    1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学習書と開発者向けWebメディア両方の経験を活かして「資格Zine」を立ち上げ。2017年7月にその拡張版として「IT人材ラボ」をスタートさせた。

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