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なぜ今ITに「相手を思いやる」という考え方が大切なの? それが必要なシーンって?

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2016/11/04 09:00

 ビジネスの根幹をなす考え方の1つに「相手を思いやる」があります。IT業界でも、相手を思いやるという考え方が改めて重要視されています。子供のころから「相手の立場になって考えなさい」なんて言われてきた人からすると当たり前すぎて、「何をいまさら……」と軽んじてしまそうですが、ITに関わる環境、特に技術者の間では、この基本的な感覚が忘れられていることが案外多いのです。しかし、それは本当にもったいないことなんです。今回は、相手を思いやるという考え方をIT技術者が取り入れるべき理由についてお話ししたいと思います。

それはIT技術が世界を笑顔にできる時代だから

IT技術者には、当然ながら技術力が求められます。しかし、技術力だけでビジネスが成り立つわけではありません。それに、他の分野での知識や観点(目線)が、回り回って技術力の向上につながることも少なくありません。他の分野で知り合った人との関係が自分の世界を広げ、予想外の展開が始まることだってあります。機会があれば、技術以外のことも柔軟に取り入れましょう。とはいえ、技術以外に何を取り入れたらいいか分からない――。

筆者がIT技術者の方に取り入れることをまずお勧めしたいのは、相手を思いやるという考え方です。なぜかというと、誰の役⽴つのかをイメージしながらIT技術を使うことで、個人も企業も、大勢が笑顔になる世界を創れる時代に突⼊したからです。実際、IT業界でも相手を思いやるという考え方が、さまざまなところに登場しています。以降では、そうしたキーワードをいくつか紹介していきます。

プロダクトアウトとマーケットイン

「プロダクトアウト」とは、自分たちが提供する商品やサービス(プロダクト)を出発点として、「それらを販売するにはどうすればよいか」を検討していくという方向の考え方です。これの対義語として使用されるのが「マーケットイン」で、市場や顧客(マーケット)の嗜好やニーズを出発点として、それに応えるような商品やサービスを企画し販売していくという方向の考え方です。

最近では、一般的に「プロダクトアウトは古い(または間違っている)」と言われることが多いですが、どちらが正しいということはありません。マーケットが思いも付かないような新製品や、既成概念にとらわれない全く新しいコンセプトの商品やサービスを提供するには、プロダクトアウトの考え方をする必要があるでしょう。ただし、マーケットは自ら創り出していかなければなりません。

しかし、経済や技術が発展し、ある程度飽和した現代において、全く新しいものを生み出し、マーケットを創り出すという機会はめったにありません。結局、多くのビジネスシーンで活用できるマーケットインのほうが重要視される傾向にあります。

マーケットインは、相手を思いやるという考え方から始まります。

サービス

20年以上前、日本のIT業界に「サービス」という考え方が入って来ました。その最たるものは、ITILに始まるITSM(ITサービスマネジメント)です。ITILでは「サービス指向」、つまりITを単なる技術ではなくサービスとして捉え、扱うべきだという考え方を基本に置いています。

サービス指向は「顧客指向」とも呼ばれています。サービスは「顧客に価値を提供する手段[1]」であり、顧客にとって価値のないものはサービスではないというのがITILの主張です。「顧客にとっての価値が何であるかを考えることによりITを活かすことができる」のであり、これもまた、相手を思いやるという考え方に通じます。

[1]: 『ITIL 2011 edition:サービスストラテジ』より。日本語版は、NPO法人itSMF(ITサービスマネジメントフォーラムジャパン)のWebサイトで購入できます。


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著者プロフィール

  • 最上 千佳子(モガミ チカコ)

    日本クイント株式会社 代表取締役社長。

    システムエンジニアとしてオープン系システムの提案、設計、構築、運用、利用者教育、社内教育など幅広く経験。顧客へのソリューション提供の中でITサービスマネジメントに目覚め、2008年ITサービスマネジメントやソーシングガバナンスなどの教育とコンサルティングを提供するオランダQuint社(Quint Wellington Redwood)の日本法人 日本クイント株式会社へ入社。ITIL認定講師として受講生・資格取得者を輩出。

    2012年3月、代表取締役に就任し、これまで以上にITとビジネスとの融合に貢献していくことを目指し、講師・コンサルタントとしての活動も続けている。

    [主要資格]ITIL Expert認定講師

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