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スタティックルートとルーティングプロトコル ~ ルーティングテーブルの作り方

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Gene[著]
2017/03/07 14:00

 シスコシステムズの認定資格「CCENT」の合格に向け、ゼロからネットワークの学習を始めるという方のための連載第10回です。今回のテーマは「スタティックルートとルーティングプロトコル」です。ルータがIPパケットを外部のネットワークに送信するには、そのルート情報があらかじめ登録されていなければなりません。スタティックルートとルーティングプロトコルはその登録を行う2つの方法です。それぞれについて、どのように登録するのか、どちらを使えばよいのか、などを見ていきましょう。

スタティックルートとルーティングプロトコル

一言でいうと

ルーティングテーブルにリモートネットワークのルート情報を登録するための方法。

試験のポイント

  • スタティックルートとルーティングプロトコルによる、ルーティングテーブルの作成方法の特徴をしっかり把握することが重要です。
  • スタティックルートとルーティングプロトコルは同時に利用できます。また、ルーティングプロトコルは1つだけでなく複数のものを同時に利用できます。
  • アドミニストレーティブディスタンスの意味をしっかりと理解しましょう。

ルーティングテーブルの作成

ルーティングを行うためには、ルーティングテーブルに必要なルート情報が登録されていることが大前提です。ルーティングテーブルに存在しないネットワーク宛てのIPパケットは破棄されてしまうからです。ルーティングテーブルにルート情報を登録する方法には、次の3つがあります。

  • 直接接続
  • スタティックルート
  • ルーティングプロトコル

直接接続は、最も基本的なルート情報の登録方法です。ルータにはネットワークを接続する役割があります。直接接続のルート情報は、その名前のとおりルータが直接接続しているネットワークのルート情報です。

直接接続のルート情報をルーティングテーブルに登録するのに、特別な設定は不要です。ルータのインタフェースにIPアドレスを設定して、そのインタフェースを有効にするだけです。自動的に設定したIPアドレスに対応するネットワークアドレスのルート情報が、直接接続のルート情報としてルーティングテーブルに登録されます。

図1:直接接続のルート情報
図1:直接接続のルート情報

ルーティングテーブルに登録されているネットワークのみ、IPパケットをルーティングできます。つまり、ルータは特別な設定をしなくても、直接接続のネットワーク間のルーティングは可能です。

逆にいえば、ルータは直接接続のネットワークしか分かりません。ルータに直接接続されていないリモートネットワークにIPパケットをルーティングするには、そのルート情報をルーティングテーブルに登録しなければいけません。つまり、ルーティングの設定とは、基本的に「リモートネットワークのルート情報をルーティングテーブルに登録すること」といえます。また、パケットはルーティングテーブルに基づいて転送されるので、「ルーティングテーブルを作成する=パケットの転送経路を決定する」ともいえます。

リモートネットワークのルート情報を登録するための方法は、スタティックルートルーティングプロトコルです。ルーティングが必要なリモートネットワークごとに、スタティックルートまたはルーティングプロトコルによって、ルート情報をルーティングテーブルに登録します。それにより、リモートネットワークへのIPパケットのルーティングが可能になります。

スタティックルートでリモートネットワークのルート情報を登録することを指して、スタティックルーティングと呼びます。また、ルーティングプロトコルでリモートネットワークのルート情報を登録することを、ダイナミックルーティングと呼びます。

スタティックルートはルータにコマンドを入力するなどして、ルート情報を手動でルーティングテーブルに登録します。一方、ルーティングプロトコルではルータ同士がさまざまな情報を交換し、自動的にルーティングテーブルへルート情報を登録します。ルーティングプロトコルには、次のような種類があります。

  • RIP(Routing Information Protocol)
  • OSPF(Open Shortest Path First)
  • EIGRP(Enhanced Interior Gateway Routing Protocol)
  • BGP(Border Gateway Protocol)

RIPは、比較的規模が小さい企業のネットワークでよく利用されるシンプルなルーティングプロトコルです。OSPFは、中~大規模な企業のネットワークで利用される標準化されたルーティングプロトコルです。EIGRPは、Cisco独自のルーティングプロトコルで大規模な企業ネットワークでよく利用されています。そして、インターネット上のルータは、ルーティングプロトコルとして主にBGPを利用しています。インターネット上には膨大な数のネットワークが存在しています。膨大な数のネットワークのルート情報を効率よく扱うために、BGPが使用されています。

ルーティングテーブル作成の例

ここからは次図に示す簡単なネットワーク構成を例にして、スタティックルートとルーティングプロトコルによるリモートネットワークのルート情報の登録を考えます。

図2:ルーティングテーブル作成例のネットワーク構成例
図2:ルーティングテーブル作成例のネットワーク構成例

この構成ではR1、R2、R3の3台のルータで4つのネットワークを相互接続しています。各ルータのインタフェースにIPアドレスを設定することで、ネットワークを接続していることになり、ルーティングテーブルに直接接続のルート情報が登録されています。

スタティックルートの設定

スタティックルートを利用する場合、それぞれのルータにとってのリモートネットワークのルート情報を、管理者が手動(コマンド入力やGUIベースの設定)でルーティングテーブルに登録します。そのためには、まず各ルータのリモートネットワークをきちんと把握しておかなければいけません。各ルータのリモートネットワークと指定するべきネクストホップアドレスをまとめると、次表のようになります。

表1:リモートネットワーク
ルータ リモートネットワーク ネクストホップ
R1 192.168.23.0/24 192.168.12.2
192.168.3.0/24 192.168.12.2
R2 192.168.1.0/24 192.168.12.1
192.168.3.0/24 192.168.23.3
R3 192.168.1.0/24 192.168.23.2
192.168.12.0/24 192.168.23.2

リモートネットワークを把握したら、各ルータで管理者がコマンドラインからコマンドを入力したり、GUIの設定画面でスタティックルートのパラメータの指定を行ったりして、リモートネットワークの情報を手作業で登録します。

図3:スタティックルートの設定例
図3:スタティックルートの設定例

この例のような小規模なネットワークであれば、設定の負荷はそれほど大きくありません。しかし、ルータの台数が増え、ネットワークの数も増えてくると、スタティックルートの設定は大変な作業になってしまいます。

ルーティングプロトコルの設定例

ルーティングプロトコルの設定例を考えるにあたって、一番シンプルなRIPを利用するものとします。設定は、各ルータのすべてのインタフェースでRIPを有効化するだけです。特にリモートネットワークを洗い出して、ネクストホップを考えるような作業は不要です[1][2]

RIPを有効化すると、各ルータはRIPのルート情報を送受信します。R1であれば、R2へ192.168.1.0/24のRIPルート情報を送信します。それを受信したR2はルーティングテーブルに192.168.1.0/24を登録します。また、R2からR3へ192.168.1.0/24と192.168.12.0/24のRIPルート情報を送信します。R3は受信したRIPルート情報をルーティングテーブルに追加します。

R3からはR2へ192.168.3.0/24のRIPルート情報を送信しています。R2はルーティングテーブルに192.168.3.0/24を追加します。また、R2からR1へ192.168.3.0/24と192.168.23.0/24のRIPルート情報を送信しています。すると、R1のルーティングテーブルに192.168.3.0/24と192.168.23.0/24が登録されます。

図4:RIPの設定例
図4:RIPの設定例

以上のように、各ルータで「すべてのインタフェースにおいてRIPを有効にする」という設定をすれば、あとはルータ同士がルート情報を交換して自動的にルーティングテーブルを作ってくれるようになります。

[1]: ルーティングプロトコルを使うときにも、各ルータにとってのリモートネットワークとネクストホップを認識しておくことが重要です。そうでないと、出来上がったルーティングテーブルが正しいかどうか判断できません。ルーティングプロトコルを設定するときにリモートネットワークとそのネクストホップの情報は特にいらないという意味です。

[2]: RIP以外のルーティングプロトコルも基本的な設定は同じです。ルーティングプロトコルをすべてのインタフェースで有効化するという設定を行うだけです。ただし、BGPは例外です。BGPの設定はインタフェース単位ではありません。


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著者プロフィール

  • Gene(ジーン)

    2000年よりメールマガジン、Webサイト「ネットワークのおべんきょしませんか?」を開設。「ネットワーク技術をわかりやすく解説する」ことを目標に日々更新を続ける。2003年にCCIE Routing and Switchingを取得。2003年8月に独立し、ネットワーク技術に関するフリーのインストラクター、テクニカルライターとして活動中。

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