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IoTビジネスを創る人材の育成には「まずはやってみよう!」というカルチャーが絶対条件

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 いま最もホットなキーワードの1つであり、世界を変革する力を秘めているといわれるIoT(モノのインターネット)。産業用コンピュータで世界的に知られるアドバンテックは、IoTの分野でも大きな影響力を持ち、WISE-PaaSなどのプラットフォームやデバイスの豊富なラインナップを提供している。同社日本法人であるアドバンテック株式会社 社長 兼 日本地区最高責任者のマイク小池氏に、ビジネス創造におけるIoTの可能性や人材育成についてうかがった。

本格的なIoTビジネスにチャレンジできる時代がやってきた

――最初に、世界のIoTの現在の動向についてお聞かせください。

 急速な進化の中で、特にこの1年はSIGFOXLoRaのような、LPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる、低コストでコミュニケーションを可能にする無線通信技術が発達してきました。このインフラの進化で「IoTで何ができるか?」を、より多くの企業が容易に実証実験できるようになり、これまでの空想から脱して現実の世界で新しいビジネスを立ち上げる環境が整いつつあります。まさに世界的な規模で、IoTを本格的にビジネスで活かすフェイズに入ったと言えるでしょう。

――より幅広い企業や業種に、IoTビジネスへの可能性が広がってきているわけですね。

 IoTの技術では、データの入口から収集・分析、その結果を用いて最終的にアプリケーションやサービスとして提供するところまで、垂直統合されたテクノロジーのセットが要求されます。そのため、これまでIoTといえば、センサーから上がってくる全てのデータをクラウドサービスにアップする大規模システムがほとんどでした。IoTビジネスの第1フェーズとしても、大企業が大がかりな仕組みを構築する例、たとえば航空会社が燃料消費を削減するためのデータ収集・分析システムなどが主でした。

 それが今では、中堅・中小企業でも現実的かつ段階的にIoTを実践可能な、質の高い環境が提供されつつあります。これにより、まずはエッジ領域(センサー/デバイスが設置されているところ)からデータを取り込む仕組みを作って、エッジ領域でIoTを実現します。それから、エッジ領域で取り込んだデータをクラウドに集約し、データを活用する仕組みを構築するのです。

 当社では、こうしたエッジ領域のデータ活用を支援するため、IoTプラットフォーム「エッジ・インテリジェンス・サーバー」を2017年4月にリリースしました。また、センサーデバイスが取得したデータを低コストで転送するIoTゲートウェイから、Microsoft AzureやAmazon Web Services、IBM Bluemixなどの主要クラウドと連携するソフトウェアまで、一貫してカバーする環境を提供しています。

マイク小池氏
マイク小池(まいく こいけ)氏
アドバンテック株式会社 社長 兼 日本地区最高責任者。
サンダーバード国際経営大学院で経営学修士号(MBA)を取得後、米インテルを経て、1990年に米アダプテックインクに入社。2005年にはアバゴ・テクノロジー(現 ブロードコム)の代表取締役社長に就任した。2012年1月台湾アドバンテックへ入社しバイス・プレジデントに就任。同年7月より現職。

自社ビジネスや業界を深く知ることがIoT活用の重要なカギ

――これからIoTのビジネスに取り組むという企業やエンジニアが押さえておくべきポイントは何でしょう。

 自分たちが挑戦するビジネスに合ったテクノロジーを選択することはもちろんですが、それ以上に重要なのは「ドメインナレッジ」(業務知識)を持つことです。すなわち、挑戦するビジネスの専門知識やノウハウ、そして市場ニーズについての深い知識こそ重要です。

 当社はプラットフォームカンパニーなので、IoTで新しいビジネスやチャレンジを始めるための環境や技術は提供できます。しかし、ドメインナレッジを持っている企業やエンジニア自身が、市場に向けて何を提供したいかという明確なビジョンや獲得目標を持っていない限り、ビジネスが広がっていくことはあり得ません。

――IoT自体が目的ではなく、それぞれの企業や組織が自分たちの世界を広げるために、IoTという新しいテクノロジーを利用するという意識を持つべきですね。具体的にIoTが生かせる業種や分野には、どんなものが想定できますか。

 近年IoTの導入が進んでいる分野としては、いわゆるインダストリー4.0。たとえば工場の見える化や、建設業におけるスマートコンストラクションの推進。特に建設・建築分野では、技能継承のために使われるケースが目立ちます。IoTで収集・分析したベテランの技術を、若手の職人が容易に継承できる環境づくりですね。あと、スマートフォンやタブレットを農業や植物工場で使う例も出てきています。同様に、医療分野での期待も高まっています。

――公的な分野での貢献の可能性はどうですか。

 当社を例に挙げると、経済産業省や各地方の企業とパートナーシップを組んで「Advantech IoT47プロジェクト」を実施しています。少子化による人手不足や地方経済の伸び悩みなどで、地方の企業は非常に厳しい境遇に置かれています。ここにIoTを使ってどういう活路が開けるかというのを、現地を訪れて地域の皆さんと共に考えていく取り組みです。


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著者プロフィール

  • 工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

    出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

  • 市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)

    1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学習書と開発者向けWebメディア両方の経験を活かして「資格Zine」を立ち上げ。「IT人材ラボ」はその拡張版となる。

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