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英語にも堪能な優れたエンジニアを採用するために企業が知っておくべきこと・実践したいこと

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 英語に堪能な人材に特化して企業に紹介しているロバート・ウォルターズ・ジャパン。外資系企業の日本法人や海外展開する国内企業に「英語のできるITエンジニア」も紹介している。しかし、ITエンジニアにとって、英語ができることは大きなアドバンテージだとはいえ、技術力などがなくては本末転倒である。実際のところ、どのように見極めているのか。また、引く手あまたで転職も容易な優れたITエンジニアに入社してもらうため、長く活躍してもらうために注意すべきことは何か。ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社 IT部門 ITベンダーチーム マネジャーの奥井啓介氏に聞いた。

採用企業はどの程度の英語力を求めているのか

――英語ができるエンジニアを求める企業では、どのような人材ニーズがあるのでしょうか?

 弊社では、主に外資系企業の日本法人での求人を扱っています。そうした企業では製品を海外で開発しており、社内資料はすべて英語、本社とのコミュニケーションも英語です。したがって、“英語のドキュメントが読めて、英語でメールのやりとりができる”というスキルは最低限必要になってきます。

 特に、新しい製品を日本で展開しようとしているケースでは、エンジニアにもテレカン(電話会議)でスピーキングができる能力が求められます。海外の先行事例を日本のお客様にお伝えするミッションが課せられるプリセールスやセールスコンサルタントと呼ばれる職種においては、採用におけるインタビュープロセス(面談)でも、海外のエンジニアとのインタビューが設定されることもあります。そうした場合、ご自身の経験や強みを英語で話せる方でないと、なかなか採用には至らないのが現実ですね。

奥井 啓介氏
奥井 啓介(おくい けいすけ)氏
ロバート・ウォルターズ・ジャパン IT部門 ITベンダーチーム マネジャー
バイリンガル人材、高度人材などを専門とする人材紹介会社ロバート・ウォルターズ・ジャパンで、IT企業向けの人材コンサルティングを担うITベンダーチームを統括する。2010年3月入社。それ以前に大手IT企業などに勤務した経験を持つ。立命館大学卒業。

――英語力を求めるのであれば、逆に、日本在住のネイティブな外国人を採用する動きにはならないのでしょうか?

 私は7年間、IT業界に特化して採用を支援していますが、以前に比べ多少は外国人のエンジニアを採用しようという機運は高まってきているとは思います。特に、Web系のサービスや自社製品を開発している企業、AIのような新しい技術を扱うスタートアップのような日系企業では、外国人を積極的に起用しようとされています。

 とはいえ、日系企業に入社された外国人の方からは、「務めて2〜3年経ったけれどなかなかカルチャーに馴染めない。年功序列でキャリアアップに時間がかかるから外資系企業に転職したい」というご相談をいただくことも少なくありません。一方、外資系企業では、日本人のお客様と接する役割を求めているケースが多いので、ある程度の日本語が話せないと採用には至りません。

――企業が御社のようなエージェントを利用する理由は何でしょうか?

 例えば、スタートアップでは、当初の人材は創業者のネットワークでリファラル採用をするのが常ですが、ある程度の規模になると、それでは間に合わなくなってきます。そこで求人媒体も使うようになるのですが、求人媒体から応募してくる人は玉石混淆。欲しい人材の選別に時間がかかります。このようなとき、我々のようなエージェントにご相談いただければ、ある程度スクリーニングした上で、確度の高いレジュメだけを見て面接していただけるので、効率化が図れます。

 加えて、外資系スタートアップの場合、日本の採用文化やマーケットがよくわかりません。日本で人材を採用する場合、弊社が保有するバイリンガル人材のデータベースを活用することで、すぐに良い候補者を見つけられるというメリットがあります。

 また、日系スタートアップの場合、日本国内でもブランドの知名度がないため、採用に苦労されます。弊社を通していただくことで、我々が候補者の方に会社の魅力をお伝えして採用につなげることが可能です。たとえ知名度がある大手企業であったとしても、今はマーケットが非常にコンペティティブ(取り合い)になっているため、やはり苦労されるケースが増えています。そうした企業から「英語を使える人材が足りないから支援してくれないか」とご相談をいただいています。

――今の超売り手市場では、候補者を集めるのが非常に難しいと思うのですが、御社ではどのような工夫をされていますか?

 弊社はヘッドハンティングファームですので、Webからご登録いただく方をお待ちしているだけではありません。売上の4分の1はリファラル、つまり過去に弊社のサービスをご利用いただいたり、転職には至らなかったけれど相談にお越しいただいていたりした方のご紹介によるものです。中にはお付き合いのある企業から、社内の転職希望者をご紹介いただくケースもあります。そういった方は外部の媒体には登録されていませんし、そもそも転職活動をまだ始めていない方もいらっしゃいます。他のエージェントでは出てこない方をご紹介できるのです。

 それに、いろいろなネットワークで優秀な方がいると聞けば、こちらからアクティブにアプローチもしています。特にITの場合、コミュニティが盛んなので、勉強会に参加してご挨拶させていただくところから始める場合もあります。最近では、イベントを開催するなど、プロアクティブ(先んじて)にこちらから仕掛けることで、良い人材の確保に努めています。

業務スキルはどの程度求めてよいのか

――御社はレベルの高い方を供給されているということで、專門的な業務知識も求められるのではないかと思うのですが、企業はどのような能力を希望されていますか?

 そうですね。同じITでもサーバーだけといったような汎用的なスキルではなく、特定の製品や技術にスキルをお持ちの方といった感じのリクエストをよくいただきます。しかし、人材プールの状況から見れば、残念ながら、企業が求める要件をすべて満たす方はごくわずかです。

 エンジニアの優秀な方は、常にご自身で新しい技術をキャッチアップされますので、今できなくても1〜2か月あればキャッチアップできます。ですので、採用企業側では「今すぐできなければどうしてもダメなもの」と「入社後のキャッチアップでも大丈夫なもの」を選別することが大切です。

 また、技術は2〜3年のスパンで変わりますから、「特定の技術に固執するよりは、新しい技術に対する好奇心のようなマインドセットを重視された方が良いのではないか」といったアドバイスをすることもあります。

 特にビッグデータに関しては、統計の知識を持っている方が少ないので、ファンダメンタル(基礎)を理解されていれば十分ポテンシャルはあると思いますし、企業側も実際に会ってみると採用に至るケースは多いですね。

――ITエンジニアに限れば、英語力と技術力では、どちらに重きが置かれていますか?

 そこは企業によりますね。外資系の場合、日本法人で働く方と本社の方では、意識の違いがあることも多いです。日本の方は「英語ができても、業務の経験がなかったり、成果が出せなければ、本末転倒でしょう」と考えていますが、採用のインタビュープロセスに海外のエンジニアが入った場合、どうしても英語が話せる人の方が良く見えてしまいますので。現場としては、“まず専門性があってプラス英語”という考え方ですが、中には英語ができるというだけで採用される会社もあります。ただ、そうした場合、入社後にあまりうまくいかないケースも多いと思いますね。

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著者プロフィール

  • 野本 纏花(ノモト マドカ)

    フリーライター。IT系企業のマーケティング担当を経て2010年8月からMarkeZine(翔泳社)にてライター業を開始。2011年1月からWriting&Marketing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。共著に『ひとつ上のFacebookマネジメント術~情報収集・人脈づくり・セルフブランディングにFacebookを活用しよう』がある。

  • 市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)

    1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学習書と開発者向けWebメディア両方の経験を活かして「資格Zine」を立ち上げ。「IT人材ラボ」はその拡張版となる。

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