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MyRefer――リファラル採用で人と仕事の正しいマッチングを実現、その促進のために注力している工夫とは

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 採用難の時代に入り、注目を集めているリファラル採用。なぜ今リファラル採用が、人事の希望の光となっているのだろうか。この8月にパーソルキャリアから独立し、リファラル採用活性化サービス「MyRefer」を提供する株式会社MyRefer 代表取締役CEO 鈴木貴史氏に、MyReferの成り立ちや機能などを含めて話を聞いた。

社内スタートアップとして生まれた「MyRefer」

――MyReferが生まれた背景について、教えていただけますか。

 もともとMyReferはパーソルキャリア(旧インテリジェンス)の「0to1」という社内アクセラレーションプログラムから生まれました。2014年度にエントリーし、最終承認を経て2015年10月にリリースしました。

鈴木貴史氏
鈴木貴史(すずき・たかふみ)氏
株式会社MyRefer代表取締役CEO。
1988年和歌山県生まれ。静岡大学を卒業後、2012年株式会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。ITネット業界を中心に500社以上の企業の中途採用を支援した後、サービス開発部にて新規事業企画に従事。2014年にグループ歴代最年少で社内ベンチャー制度「0to1」を通過。1億円の社内出資の元、国内初のリファラルリクルーティング事業 MyReferを立ち上げ、日本にリファラル採用の概念提唱。9ヶ月で黒字化を実現し社内ベンチャーカンパニーCEO 兼 新規事業開発部ゼネラルマネジャーとして同社の新規事業拡大を牽引。2018年、事業譲渡によりMBOを経て完全独立。パーソルグループ初となるスピンオフベンチャー株式会社MyReferを設立、代表取締役CEOに就任。

 僕はプロダクトアウトとマーケットインが両立しているビジネスでなければ、熱量を持って取り組めないと思っていました。

 まずプロダクトアウト、つまり“自分自身が考えるあるべき世界観”の話としては、人と人のつながりを生かした転職市場を創造することができれば、日本の雇用の流動化や最適配置が実現できるのではないかと考えました。2012年〜2013年にかけてクラウドソーシングの流れが押し寄せてきましたよね。“個”がフィーチャーされる時代になった。だから、エージェント機能も一部の大企業に集約されるのではなく、日本人全員をエージェント化させて、個人のつながりで友人を紹介したほうが、マッチングの質も高いし、あるべき姿なのではないかと思ったんです。

 次にマーケットインの話でいうと、僕は以前、DODAのリクルーティングコンサルタントとしてIT企業を中心に採用支援をしていましたので、法人と個人の双方の課題を発見していました。

 法人側では、2014年から有効求人倍率が年々上昇し、コンサルティングファームでも採用の要件を下げるほどになっていました。攻め採用の観点で、ダイレクトリクルーティングが徐々に広がってきたころですね。そして、ダイレクトリクルーティングの次は、企業が自社の力で採用する「リファラルリクルーティング」の時代が来るだろうと読んでいました。外部データベースのみではなかなか人材を採れない中で、次なるチャネルとして社員のリソースを活用しようという動きになるのは、米国のHR Techトレンドを見ていると自然な流れだからです。

 個人側から見ると、エージェントでは個人の転職のポテンシャルを最大限に生かすのは難しいと感じていたんです。1人のキャリアアドバイザーが月間50名近くの候補者と会いますので、決まりやすい人を決まりやすいところに送り込んでいるのが現状です。人事もそのほうが楽なんですよ。開発経験がなければ書類で落とすとか、営業経験が2年以上で学歴はMARCH以上じゃなければ書類で落とすとか。でも、これって本質的なマッチングではありませんよね。中卒でも優秀な人はいますし、開発経験が短くても優秀なエンジニアもいるはずです。

 日本は年功序列の終身雇用で、生涯転職回数はわずか1〜2回しかありません。それゆえに社会で有機的な流動化が起こらず、イノベーションが生まれない。だからこそ、リファラルのつながりを生かしたプラットフォームを作ることができれば転職が増え、人材の流動化がもっと促進されるに違いない。そして、その転職も無理やり当て込むものではなく、本質的なマッチングが実現されるのではないかと考えました。

――2014年の企画段階からリファラル採用のサービスを作ろうと考えていたのですか。

 厳密に言うと、最初は個人全員をエージェント化して雇用の流動化を図ろうと、自分が所属していない会社にも友人を紹介できる、いわゆるクラウドリクルーティングを展開しようと考えていました。しかし、2つの理由があって、リファラル採用にしたんです。

 1つめは、職業安定法(職安法)第40条の壁です。友人を企業に紹介して、お金を得たら法的にアウトなんですよね。リクルーターが有料職業紹介事業者の認可を受けているか、企業が社員に賃金、給与などを支払わなければいけません。

 2つめは、結局、自分が働いていない会社に友人を紹介できたら、それってエージェントがやっていることと半分一緒なんですよね。自分の会社で働いてほしいと思える人だから、紹介することで本当に良いマッチングを生み出すのだと思います。

――良い人だから紹介したのか、とにかくお金が欲しいのかによって、マッチングの質が変わってきてしまいますからね。

 そうなんです。だから、まずはリファラルに特化したSaaSのプロダクトを作り、それが浸透してから、そこで蓄積されたデータを活用したプラットフォームへと展開していくのがいいのではないかと。

――あと、SaaSとして展開することは決めていたのですね。

 そうですね。ただ、最初はテクノロジードリブン(技術による訴求)で、可能な限り非営業モデル(営業活動なし)でいこうと考えていました。企業に自発的にMyReferを使っていただいて、そこで集まった情報をもとにプラットフォームを作るという逆算型の構想でした。

 けれどもリファラル採用って、当初はまったく市場から受け入れられていなかったというか、まだよく理解されていなかったので、コンサルティングなしでは人事がまったく動いてくれなかったんですよね。このままではビジネスモデルとして破綻すると考えて、サブスクリプションでお金をいただいて、コンサルティングも加えたプランにしました。

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著者プロフィール

  • 野本 纏花(ノモト マドカ)

    フリーライター。IT系企業のマーケティング担当を経て2010年8月からMarkeZine(翔泳社)にてライター業を開始。2011年1月からWriting&Marketing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。共著に『ひとつ上のFacebookマネジメント術~情報収集・人脈づくり・セルフブランディングにFacebookを活用しよう』がある。

  • 市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)

    1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学習書と開発者向けWebメディア両方の経験を活かして「資格Zine」を立ち上げ。2017年7月にその拡張版として「IT人材ラボ」をスタートさせた。

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