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当初は大苦戦したエンジニアの「採用広報」、その時見直した・作り直したものとは――リクルートテクノロジーズ 広報 松尾奈美氏《前編》

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 いま多くの企業がエンジニア採用に困っている。中でも難しいのは、自社の魅力を伝え、エンジニアに関心を持ってもらう「採用広報(採用PR)」だろう。有名企業グループの1社であるはずの株式会社リクルートテクノロジーズも、当初は採用広報がうまくいかずエンジニアに見向きもされなかったという。しかし、地道な活動を続けた結果、採用広報を回す力強いサイクルが構築され、満足のいくエンジニア採用ができるようになった。本記事では2回にわたり、その過程や仕組み作りについて、株式会社リクルートテクノロジーズの松尾奈美氏(企画統括本部 経営企画部 広報コミュニケーショングループ グループマネジャー)に伺った話をお送りする。

大切なのは会社のブランドではなく「何ができる組織か」だった

――現在の業務内容について教えてください。

 広報を担当しています。ただ、ひと口に広報と言っても、「内部広報」と「外部広報」の2つがあります。外部広報はいわゆる広報に近いと思います。ここではエンジニアの採用PRなどをやっています。一方で内部広報、つまりインナーコミュニケーションでは、コミュニケーション施策を通じて魅力あるエンジニアの組織づくりを実現していきます。私は今、グループマネジャーとして外部広報と内部広報の両方を担当しています。

 去年、採用活動をする中で、今あるものをただPRするだけでは、エンジニアの採用は難しいことを痛感しました。やはり組織づくりというか、組織のビジョンや魅力をつくることもセットでやらないと、エンジニアの採用は成り立たないと思ったのです。そこで、役員や組織長と一緒に組織づくりに関わりながら、採用活動を進めていきました。

松尾 奈美氏
松尾 奈美(まつお・なみ)氏
株式会社リクルートテクノロジーズ 企画統括本部 経営企画部 広報コミュニケーショングループ グループマネジャー。
新卒でリクルートに入社後、一貫して経営企画、採用、広報といったスタッフ領域を担当。年間100名を超えるエンジニアを採用する組織のマネジャーを2年経験し、現在に至る。インナーコミュニケーション活性と社外PRを通じて、エンジニアがよりイキイキと活躍できる組織づくりと会社の魅力を発信することの「両輪」を担う。

――まず採用に至る土台作りとして社内の組織づくりを手がけ、そこでできたものについて外部広報として魅力を伝えるわけですね。松尾さんはどのような経歴をお持ちなのですか。

 今はエンジニアの採用をやっていますが、元々はリクルートグループの新卒採用をやっていました。ですので、エンジニアの採用とそうでない人の採用の違いを実感しています。新卒採用をしていたときには、リクルートはそれなりに知名度が高く、風土文化にもオリジナリティがあるので、PRに注力すれば良い採用ができました。

 ところがエンジニアの採用となると、リクルートに知名度はなく、「リクルートテクノロジーズでこういう経験を積みませんか」とか「リクルートのセキュリティをやりませんか」みたいなPRをしても全然ダメでした。

 現場の方と話をしていると、特に専門性を重んじるエンジニアは、会社のPRよりも「この組織で何ができるのか」を重視するのだとわかりました。また、エンジニアと一括りに言っても、職種もタイプも魅力に感じるものが違うので、一緒にするのではなく、個別にアピールしたほうがよいと思いました。ですから「この組織では何ができるのか」「この専門組織の中ではこういうキャリアを積めます」というPRに変えていったのです。

――リクルートという会社のブランドが引力になると思っていたのが、実は違っていたということですね。

 まったく違っていました。なおかつ、エンジニアも職種によって全然違うので、一括りにして同じPRをしても無理だと思いました。例えば、基盤系のエンジニアとR&D系のエンジニアでは、同じ訴求をしても届かないのです。何を魅力に感じるのかを個別に考えることが大事だと思います。

――いくつくらいに分けてアプローチしたのですか。

 分けようと思えばいくらでも分けられるのですが、当時、採用が特に厳しかったのはセキュリティやインフラなどでしたので、そこは職種ごとに際立たせました。

――「セキュリティではこういうことをしています、ついてはこういう人材を募集します」ということをくっきりさせていったのですね。

 はい。くっきりさせるにあたり、その組織の担当役員とタッグを組み、組織ごとのミッションなどを言語化していきました。広報というと「(すでに)あるものを伝える」というイメージを持たれがちなのですが、私たちは「何を作って伝えていくか」ということも一緒に考えています。

――例えば、セキュリティ部門のブランディングを担当役員の方などと練り直し、「うちではこういうところを強みにしていて、こういう方向で訴求していく」という方向性を明確にしたと。

 ただ、「急がば回れ」ではないのですが、うまくいき始めるのに1年半から2年くらいかかりました。やはり、組織などからきちんとさせることがすごく大事だと思いました。

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著者プロフィール

  • 八鍬 悟志(ヤクワ サトシ)

    都内の出版社に12年勤めたのちフリーランス・ライターへ。得意ジャンルは労働者の実像に迫るルポルタージュと国内外の紀行文。特にヒンドゥ教の修行僧であるサドゥを追いかけたルポルタージュと、八重山諸島を描いた紀行文には定評がある。20年かけて日本百名山の制覇を目指しているほか、国内外を走るサイクリストとしての一面も。

  • 市古 明典(IT人材ラボ ラボ長)(イチゴ アキノリ)

    1972年愛知県生まれ。宝飾店の売り子、辞書専門編集プロダクションの編集者(兼MS Access担当)を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、資格学習書と開発者向けWebメディア両方の経験を活かして「資格Zine」を立ち上げ。2017年7月にその拡張版として「IT人材ラボ」をスタートさせた。

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