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マネジメント能力の低さを前提にした組織運営を考える

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2019/05/22 06:00

 マネジャーのマネジメント能力不足は、多くの企業で共通の悩みとなっているようです。とはいえ、マネジャーの育成は容易ではありませんし、時間もかかります。それではどうすればよいのか――この連載では、そうした課題を抱える組織の運営を滞りなく進めるためのヒントを紹介していきます。

どんな会社でもマネジメント層の薄さが悩み

 私は様々な会社を対象に人事のコンサルティングをさせていただいているのですが、ほぼ全ての会社において「問題だ」とされていることがあります。それは、「マネジメント層≒中間管理職層の能力不足/人材不足」ということです。

 「退職者が多いのは、マネジメント層がきちんと若手をグリップできないから」「不公平感が蔓延しておりモチベーションが下がっているのは、マネジメント層の評価能力が低いから」「採用や育成がうまくいかないのは、憧れのロールモデルになるようなマネジメント層がいないから」など、たいていの問題がマネジメント層の薄さが原因とみなされています。

 ただ、これだけ多くの会社で同じことを問題視しているということは、それぞれの会社の中の要因が原因であるということでなく、もっと別の大きな要因があると考えられそうです。

そもそも世の中にマネジメント人材がいない

 先般、経済財政諮問会議が、私達のような30代半ばから40代半ばの「就職氷河期世代」を「人生再設計第一世代」という、やや屈辱的な名前に改名していました。

 新卒の頃に、うまく仕事機会を得ることができなかったために適切な能力開発の機会を失ってしまい、マネジメント能力はもちろんのこと、他にも年相応の能力やスキルを保有しておらず、キャリア上の問題が起こっているので再設計しなさいということのようです。私たちの世代は「団塊ジュニア」とも言われており、絶対数は200万ほど(現在の20代の方々の倍程度)いるのに、本当に残念なことです。

 そういう世代がマネジャーとしての適齢期を迎えているわけですから、いろいろな会社でマネジメント層が薄いと言われるわけです。そもそも世の中に存在していないのです。

しかし、様々な能力の開発時期には限界がある

 そこで、多くの会社は遅まきながらマネジメント能力を身につけてもらいたい人々(特に「人生再設計第一世代」あたり)にいろいろなマネジメント研修を施すことで自社のマネジメント能力を底上げしようとします。しかし、私の見ている限りでは大きな効果を上げている会社はあまりありません。というのも、人間には「臨界期」というものがあるからです。

 「臨界期」とは人間は特定の能力を学習するのに適切な時期があり、それを逃すといくら努力しても限界があるというものです。こういう現実を踏まえずに、素朴に変わることを要望するほうが残酷なことではないかとすら思います。

 「人生再設計第一世代」が臨界期を過ぎているのかは能力によって異なりますが、全般的に新しい能力を身につけるのは難しい時期に来ているということを前提として考えるべきではないでしょうか。

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著者プロフィール

  • 曽和 利光(ソワ トシミツ)

    1995年京都大学教育学部教育心理学科卒業。同年株式会社リクルート入社。人事部にて採用・教育・制度・組織開発等の担当、HC(Human Capital)ソリューショングループでの 組織人事コンサルタントを経て、人事部採用グループのゼネラルマネジャーとして最終面接官等を担当。2009年ライフネット生命保険総務部長、オープンハウス組織開発本部長等。ベンチャー企業の人事責任者を担当。2011年株式会社人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)設立。代表取締役社長就任。現在、リクナビ企業側画面で、コラム「採用の教科書」を連載中

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