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社内コミュニケーションのむやみな活性化は組織問題をむしろ悪化させる――正しいアプローチとは?

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2020/01/31 06:00

 「社内のコミュニケーションを活性化すれば、組織の問題はだいたい解決される」だなんて、安易に思っていませんか。そんな都合の良い話を、深く考えず信じている経営者・マネジャーの方は少なからずいらっしゃるようです。今回はそうした迷信じみた話を切り捨て、組織の問題解決という本質的な点から社内コミュニケーションのあり方を見直してみたいと思います。

コミュニケーションが活発でないと不安だが……

 人事コンサルティングをさせていただいていると、多くの会社で経営者やマネジャーの皆さんが「もっと社内のコミュニケーションを活性化しなければ」という悩みを持っています。私も社長の端くれとして、その気持ちはよくわかります。社内で社員同士が活発にコミュニケーションを取り合っているのを見れば安心しますし、逆に社内がシーンとしてお互いに話しているような素振りが見えなければ不安になります。

 しかし、そもそもコミュニケーションが活発でないとなぜいけないのでしょうか。本当にコミュニケーションの活性化は大切なのでしょうか。

ピザパーティーをすればうまくいくか

 社内のコミュニケーションは活性化すべきものである。一般的にはそう素朴に思われています。また、組織におけるいろいろな問題の原因はコミュニケーションの不活性にある。だから「話せばわかる・解決する」と考えています。それで、組織の問題に悩む経営者やマネジャーは、毎週金曜日の夕方からオフィスでピザを取ってパーティーを開く。あるいは、飲みニケーションや社員旅行などを行うのです。そうすることで、お互いの理解が進めば、組織の問題は解決していくのではないか。そう期待しているのです。

合わない人とコミュニケーションを取るのは苦痛でしかない

 しかし、私は必ずしもそうは思いません。仏教における四苦八苦の1つに「怨憎会苦(おんぞうえく)」というものがあります。これは「嫌いな人と会わなければならない苦しみ」のことですが、四苦八苦に取り上げられるくらい、自分と合わない人とコミュニケーションを取ることは苦痛なのです。それを何の工夫もせずに無理やり向き合わせて、話し合わせると、どうなるでしょうか。接点が増えるほどに不快さが増え、誤解も起こり、ますます問題が生じる可能性が高くなることもありそうです。何が何でも誰とでもコミュニケーション量が増える(=活性化)ほうがよいというわけではないのです。

オープンなオフィスがよいわけでもない

 また、コミュニケーションを活性化させようとして、間仕切り(パーティション)のないオープンなオフィスを作る会社が多いのですが、コントロールという観点からすればマイナス面もあります。実際、不意な雑談などで生産性が下がったり、視線のプライバシーがないことからストレスが増加したり、細菌感染などで体調を崩す確率が増えたりするなどの研究結果が報告されています。

 逆にいえば、一見すると、コミュニケーションの活性化を阻害するような間仕切りを作ることで、生産性が向上することも大いにあるのです。無駄なコミュニケーション、不快なコミュニケーションが減るのですから、さもありなんです。

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著者プロフィール

  • 曽和 利光(ソワ トシミツ)

    1995年京都大学教育学部教育心理学科卒業。同年株式会社リクルート入社。人事部にて採用・教育・制度・組織開発等の担当、HC(Human Capital)ソリューショングループでの 組織人事コンサルタントを経て、人事部採用グループのゼネラルマネジャーとして最終面接官等を担当。2009年ライフネット生命保険総務部長、オープンハウス組織開発本部長等。ベンチャー企業の人事責任者を担当。2011年株式会社人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)設立。代表取締役社長就任。現在、リクナビ企業側画面で、コラム「採用の教科書」を連載中

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